”生計を一にする”ということ
今は所得税の申告の真っ只中という事で、今年も申告相談会に参加しています。
その中でよく勘違いされているのが、“生計を一にする”という事です。
所得税法では、雑損雑損控除や医療費控除などの所得控除を適用する際や、
また、事業主が親族に支払った対価の必要経費算入の判定において、
この“生計を一にする”という表現がなされています。
国税通則法基本通達では、
“生計を一にする”とは、納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしている事をいい、
納税者がその親族と起居を共にしていない場合においても、
常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養している場合が含まれるとし、
親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、
これらの親族は生計を一にするものと定めています。
これは、所得税基本通達においても同様の内容となっています。
よく勘違いされているのが、
◎田舎の親に毎月仕送りをして扶養しています。
親の医療費を支払ったけれど、同居していないから医療費控除は無理ですよね?
◎進学のため一人暮らしをしている子どもがいます。毎月仕送りをしています。
子どもの医療費を支払ったけれど、医療費控除は無理ですよね?
というようなケースです。
同居していないと生計一ではない、と勘違いされているケースがとても多く、
一緒に住んでいなくてもあなたの資力で生活をしているのであれば、生計は一ですよ、とお話をします。
また、事業主にとっては所得税法56条という魔の条文がありますので、
生計を一にしているか否かで、事業所得の金額が大きく違ってきます。
所得税だけでなく、法人税の同族関係者の範囲や、相続税法の小規模宅地等の特例にも
生計を一にするという表現が用いられていますので、
判断をする際は慎重に行うようにしましょう。