相続税の節税目的での養子縁組は有効か
相続税を計算する際は、法定相続人の数が重要なポイントになります。
相続税の基礎控除額、生命保険金の非課税金額、相続税の総額の計算の際は、
法定相続人が何人いるかで各種金額は大きく異なり、
結果として相続税にも大きな差が生まれます。
しかし、法定相続人を無制限に増やす事を認めれば、恣意的に相続税の額を操作する事ができ、
本来の相続税課税の趣旨から大きく離れてしまいます。
そこで、相続税法では養子の数を無制限に法定相続人の数にカウントしないように
規制がなされています。
とはいえ、その規制の範囲内においても養子縁組が有効であったか、を争う事例があり、
相続税の基礎控除引き下げにより今後さらに養子に関する関心増えるのではないか、
と思っています。
節税目的の養子縁組の有効性が争われた事案について、
平成29年1月に最高裁から判断が下りました。
節税目的で被相続人の長男の孫を養子としたが、
長女を次女がその養子縁組は無効である、と主張して
争われた事案です。
最高裁は、
『相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。
したがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であって、
直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」
に当たるとすることはできない。』
という判決を下しました。
つまり、節税目的のためだけに養子縁組をしたとしても、それは有効だ、と判断されたのです。
養子縁組によって法定相続人の数を増やす事により、
相続税は確実に節税できます。
しかし、目先の税額だけに捕らわれて安易に養子縁組をする事よりも、
より有効的に資産を次の世代に遺す事ができないか、、
そういった事を考える努力も必要なのではないか、と個人的には思います。