決算でボーナスを支払うという事
『今期はみんなが頑張ってくれたので、利益が十分に出そうだなー。』
と喜ぶ社長に、少し税金のお話を。
決算1ヵ月前に売上が予想以上にあがって、
決算対策もできずに決算日を迎えてしまうと、
当然、予想以上の利益が出て、それに応じた税金を納める必要がありますね。
『そうだ、頑張ってくれた社員のみんなにボーナスを出そう!』
そうですね、賞与を支払うと経費になるので、利益は圧縮されますね。
しかし、決算前に計上した売上金の入金日は約2か月先で、
今の会社に、そんなに資金はありません。
手形の回収となると、6か月先が支払期日だったりする事もあるので、
売上は計上しているけど、手元にお金がなかなか入ってこない、
なんていう事が起こってしまいます。
『手元にお金がないのに、ボーナスなんて出せるか!』
そうですよね。
決算日までに支払ったら当然費用にできるのに、
肝心なお金がないと、あげたくてもボーナス、あげれないじゃないの。
大丈夫です!
決算賞与を未払計上する方法があるんですよ。
しかし、要件がいくつかあって、
それらを全てクリアしなくはいけませんので、注意が必要です。
まず、
◎そのボーナスの支給金額を、同時期に支給する全ての従業員に、個別に通知する
◎決算が明けてから、1ヵ月以内に通知した通りの金額を支払います
◎支給額を通知した事業年度において、損金経理します
これで、決算前に未払であっても、その事業年度の損金にする事ができます。
ここで2つ注意事項があります。
まず、給与規定などで
『賞与は、算定期間にわたり在職しており、かつ、支給日において在職している者に支給する』
と規定されている場合です。
この場合は、あくまでも支給日において初めて賞与を支払う義務が確定しますので、
決算日に未払計上する事はできません。
税務とは離れた分野ですが、給与規定等ののチェックも必要となります。
次に、賞与にかかる社会保険料等の法定福利費も未払計上できるのか、
という話ですが、それは無理ですね。
社会保険料の支払義務は、その月末に在職しているかどうかで判断するので、
賞与か通常の給与かに関わらず、月末時点で納付義務が生じます。
ちなみに、社会保険は退職日の翌日が喪失日になりますので、
7月30日が退職日だと、喪失日は7月31日になって、
7月分の社会保険料は徴収しなくても良いのです。
これもよく勘違いされる事なので、オマケです。
せっかくの出た利益、税金を納める事はもちろん社会のためにもなるし、
会社の存在意義にも関わりますが、
ボーナスを出してあげたいんだったら、
未払処理をして、当期の損金に計上する方法もある、
という事もお知りおきください。