新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を命じられた場合の各種費用が
所得税の計算において特定支出の対象となるかどうか、
国税庁より質疑応答編として追加公表されました。
追加された事例は以下の通りです。
◎在宅勤務を命じられたことに伴い職務の遂行に直接必要なものとして、
次の費用を支出しました。
@机、椅子、パソコン等の備品購入のための費用
A文房具等の消耗品の購入費用
B電気代等の水道光熱費やインターネット回線使用のための費用
Cインターネット上に掲載されている有料記事購入のための費用
これらの費用にかかる支出が、勤務必要経費として特定支出に該当するかどうかというものです。
そもそも、特定支出における勤務必要経費とは、
◎職務に関連する図書を購入するための費用(図書費)
◎勤務場所において着用する事が必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
◎得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する
接待、供応、贈答等のための支出(交際費等)
とされています。
(詳しくは国税庁のHP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm
をご参照ください)
したがって、上記@〜Bについては勤務必要経費の要件に合致していませんので、
特定支出とはなりません。
Cのインターネット上の有料記事については、勤務必要経費の図書費に該当します。
そして、その図書費が職務の遂行上直接必要なものとして、
給与等の支払者により証明されたものであれば、
特定支出控除として所得税の計算の際に給与所得控除の所得金額から差し引く事ができます。
補足として、
特定支出控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。
年末調整で会社が計算してくれる事はありませんので、ご注意ください。
また確定申告書には、
特定支出に関する明細書 及び、
給与の支払者の証明書
を添付するとともに、
その支出した金額を証する書類を添付、提示する必要がありますので、
確定申告前に勤務先から証明書を取得するようにしましょう。
上記のほか、特定支出には
◎勤務する場所を離れて職務を遂行するための
直接必要な旅行のために通常必要な支出(職務上の旅費)
も、特定支出として規定されています。
では、出張をする場合において、
遠距離にある場所のため、その途中で宿泊をした場合の宿泊費はどうなるでしょうか。
特定支出の要件を具備するための通常必要な支出とは、
その旅行に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らし
最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路及び方法
によるものに要する運賃及び料金等となっています。
ここで重要なのが、運賃及び料金等となっている事で、
この運賃及び料金等とは、
@その旅行に要する運賃・料金
A自動車やその他の交通用具の使用に係る燃料費及び有料道路の料金
Bその交通用具の修理のための支出
をなっており、
宿泊費は含まれていませんので、宿泊費は特定支出には該当しません。
新型コロナウイルスの影響で在宅勤をされている方が増えていると思います。
自分の負担した支出がどの特定支出に該当するかどうか、
該当する場合は、確定申告により所得税の負担を軽減できます。
関連する支出をした場合は、勤務先にご相談のうえ確定申告をしましょう。